3つの塩だしミネラルが血圧を低下
DASH食とは、「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の略で、高血圧を防ぐ食事法という意味です もともと米国で高血圧改善のために推奨されていた食事法で、同国の臨床試験ではDASH食を2ヶ月続けたところ、最高血圧が平均して11.4mmHgも下がったと報告しています
その内容は、塩分と炭水化物を抑えて、カリウム、カルシウム、マグネシウムの3つのミネラルと食物繊維をたっぷりと取るという方法。この3つのミネラルは塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります
減塩と共に、なぜDASH食が必要かというと、加齢とともに腎臓機能が弱まり、塩分が尿と一緒に排出されにくくなるからです。体の中に塩分をため込まないために、塩分排出に働く3つのミネラルが必要なのです
まずは、なぜ塩分が血圧上昇を招くのかをおさらいをしておきましょう。塩分とは塩化ナトリムという物質でナトリウムイオンと塩化物イオンが結合したものです。体液の中ではイオンの状態でナトリウムと塩化物に分かれています。血圧上昇に関わるのはナトリウムの方で、細胞内のナトリウム濃度が上がるとそれを薄めようとして水分が入り、血液量が増え血圧が上がります
DASH食で提唱する3つのミネラルにはそれぞれ違った血圧を下げる働きがあります
まずはカリウムです。カリウムが細胞内に入ると、ナトリウムが排出され血液中の水分が減り、血圧が下がります。また、摂取したナトリウムとカリウムは腎臓でろ過されますが、それぞれ血管に再吸収されます。そこでカリウムが多いと、ナトリウムの吸収を阻害するため、結果的に血圧が下がります
次はカルシウムです。カルシウムが不足すると、骨や歯などからカルシムを溶かし出し、血中のカルシウム濃度が高くなります。すると、血管壁が収縮するため、血圧が上がってしまいます。これは「カルシウムパラドックス」といわれ、ややこしい仕組みですが、カルシウムの補給が血圧を下げることにつながります
マグネシウムは、細胞内からナトリウムを排出し、カリウムを取り入れる働きを調節してくれます。さらに、動脈を広げて血圧を下げる働きがあります

野菜、大豆製品、海藻をたっぷり
カリウム、カルシウム、マグネシウムは、野菜、果物、肉、魚など多種類の食品に含まれています。たくさん食べればそれだけ量は取れますが、カロリーオーバーで肥満につながるため、食べ過ぎには注意します
塩分やカロリーを控えて3つのミネラルを多く取るには、いかに効率よく 取るかが重要です。3つのミネラルを多く含む食品は、大豆、大豆製品、乳製品、バナナ、アボカド、ブロッコリー、にんじん、アーモンド、いわし、しらす干しなどです
また、3つのミネラルに加えてDASH食で推奨しているのがアルギン酸です。海藻類などに含まれるアルギン酸は、海藻の組織内でカリウムと結びついた形で存在しています。アルギン酸が体内に入ると、分子構造上カリウムが 離れナトリウムと結びつき、対外へ排出してくれます
外食が多くなる年末年始は、DASH食や減塩に取り組んでいても忘れてしまいがち。外食で選ぶなら、ビュッフェスタイルのレストランがお勧めです。カリウムを多く含む野菜を最初に多めに取って、お腹を満たします。ただし、サラダの場合はドレッシングを少なめにしておきます
また、居酒屋などで塩分過多のメニューが予想される時は、食事の前にバナナや牛乳などを飲んでお腹を満たしていきましょう。無塩のアーモンドを食べてから行くのもオススメです。アーモンドは腹持ちが良く、食べ過ぎを防いでくれるだけでなく、血管を広げて血圧を下げるマグネシウムが豊富です。飲み会でのメニューは豆腐製品や野菜たっぷりの鍋などを選ぶようにして、塩蔵品など塩分の多い食品は控えます